ホーチミン出張して・・・

日本の衣料品の96%が海外生産。その海外生産の大半が中国といわれていますが、業界紙をみると、日系企業のベトナムへの進出が連日のように報道されています。

これまでは、チャイナプラスワンの代表のように言われてきたタイでしたが、最近の報道では、ベトナムが、すっかり、そのお株を奪わってしまったようです。そのVIETNAMのホーチミン(旧名サイゴン)を訪れる機会があり、先週、行ってきました。

行くに当り、すでに何度もベトナムに出張している知人から持参するようにとアドバイス受けたのが日焼け止めクリーム、長袖のカッターシャツとビーチサンダルでした。前二者は言われてみればなるほどとうなづける品でしたが、ビーチサンダルまでは、さすがに思い浮かびまんせんでした。聞けば、ベトナムは開発途上の国。下水の設備も不備。南国特有のスコールにあうと道路は、すぐ、水があふれるのだそうです。革靴で歩いていようものなら、靴の中にすぐ、水がはいる。工場の中でもそうしたことがたびたび起きるのだそうです。そうした時に備えて、水に濡れても大丈夫なようにビーチサンダルの持参を勧めてくれたのでした。

いまでこそ、ベトナムがチャイナプラスワンの代表のように言われていますが、ベトナムに繊維関係の日系企業が進出したのは4-5年前のことのようです。小職の属する繊維雑品業界の大手も、ほんの2年ほど前に進出したばかり。その進出ぶりも、上海、青島などの海外工場のスケールとは、ほど遠く、いたって控え目。進出してホヤホヤといったところで、仕事は、これからという印象うけました。

いち早く-といっても4-5年前にベトナム・ホーチミンに進出した日系企業は、上海で印刷メーカーとして基盤確立したと噂の高い中国人との合弁企業。日系企業相手に、いまや同業者の知らぬもののないほどの地歩を業界で固めたはずの企業が、いち早くベトナムに進出した背景には、御他聞にもれず、毎年上がる中国での人件費問題と中国政府よる強引なほどの環境環境規制があるようです。

特に、環境問題対策は中国政府の緊急課題の一つ。環境問題が社会問題化している中国では、日本以上に厳しい環境基準を敢えて導入。基準に満たない企業は有無をいわせず閉鎖を余儀なくされていますが、先の合弁企業の上海工場の周辺でも少なからざる企業が、すでに閉鎖をよぎなくされているのだそうです。加えて人件費は、毎年、値上がりを続けており、頼みの日系企業も、苦戦となれば、彼らでなくとも、将来に不安おぼえて当然でしょう。

中国の将来に危機感覚えてのVIETNAMへの進出のようでしたが、ベトナムは確かに人件費は中国でのそれよりは安い。上海でのワーカーの最低賃金を月5万円とするとベトナムでのそれは2万円。人件費は半分以下のようですが、他のインフラなど中国の比でないようです。南国特有のスコールにであえば、道路はすぐに冠水するほどです。(知人の勧めてくれたビーチサンダルの出番です。幸い、小職のホーチミンでの異動は車。ビーチサンダルの出番はありませんでしたが・・・。)

しかも、肝心の材料は現地での調達できないという。結局、ほとんどの材料や資材は中国や日本から送りつけなければならない。結果、ベトナムの生産コストは、中国で生産する副資材と、ほとんど変わらないことになる。中には逆にベトナム品のほうが高いという笑えないことも多発しているようだ。中国に代わるVIETNAM生産となるとすぐ安くなると勘違いして訪ねてくる日系の顧客も多く、納得してもらうのにいまだに腐心しているようでした。

今回の出張では、日系の企業相手にベトナムに工場を誘致するコンサルタントの説明も受けました。

ベトナムの工業団地に工場を建設し、レンタルで貸し出しするのだという。人材の確保から複雑な行政手続きも代行してくれるという。資金に余裕のない中小企業にとっては至れり、つくせりのサービス。海外進出となると大手企業に限られたきたが、中小企業の海外への進出も、確かに、いまや夢物語ではない・・・・。つくづく時代は変わったと思ったものです。

そのコンサルタトの講師の説明では、お隣のタイは、地政学的にみれば南アジアの拠点にふさわしい国ですが、自動車などの製造業ですでに固められており縫製業の増える余地はないのだそうです。人口の増加も期待できないといいます。

その中で、ベトナムは毎年100万人、人口が増えているのだそうです。もちろんのベトナムの労働賃金も毎年のように上がっていくでしょうが、人件費の値上がりは他の国でも同じ。若くて安い労働力というベトンバムの魅力は、依然、変わらないといいます。

講師の先生によれば、いまや中小企業といえども、海外に進出し海外に市場を求めるべきといいたいようで、その海外進出も現地化が肝。これからの進出企業は、現地スタッフの育成に留意し現地スタッフに経営を委ねられるように留意すべきということのようですが、少々、違和感覚えて拝聴しました。

そもそも肝心の日系アパレルに海外市場の開拓を想定しているようなアパレルは、ユニクロを除いては、ほとんど皆無です。日系アパレルは、生産基地を労賃の安い国に依存しているだけで海外市場への進出などは、とうに諦めているようにしか見えません。海外市場の獲得を目指している他の産業とも一番大きくことなる点でもあります。

安い労働力を求めるだけなら、コンサルタントの先生もいっていましたが、アフリカに行けばいい。実際、ベトナムにつづきミヤンマーが日系の縫製基地として浮上しているとのことですが、ベトナムに進出してきた日系企業の悩みは消えていません。ベトナムへの進出の実態は、業界紙で喧伝されている報道とは大きく異なり、至って堅実であるのも至極、当然に見えてきます。中国から安価な労働力求めてベトナムに進出してきたその矢先から、さらに、転出先を考えねばならないのが、アパレル関連業者の偽らざる現実のようです。安価な労働力を求めなければ成り立たない産業となってしまったこと自身が、日本のアパレル産業の根本的な問題に思えてなりません。

改めて考えるに、我々に、いまも今後も求められるものは、いわゆる安価な労働力だろうか?否!そうではない。もっと肝心なことが、問われていると思えてならないが、皆さんは、どうお考えになりますか?

レオナルド・ダ・ピンチ