人口減少の中で・・・

国内のあらゆる産業に閉塞感が漂って久しい。

実際、需要の見込める市場といえば、ほとんどが海外のそれ。海外へ出向かなければ、企業の成長は、ないというのが今の世の通説。この通説を裏付けるのが世界で一番、少子高齢が進んでいる日本の人口問題ということになる。

いまから100年後の2110年には日本の人口は現在の三分の一の4286万人になるとの予測もある。 かくの通り、人口が減り、働き手も減れば、日本の衰退は必然と思いがちになるが、実際、その通りかと疑問を投げかけたのが、最近、読んだ「人口と日本経済」(吉川 洋著)という文庫本。

それによると人口の伸びと労働生産性の伸びとは一直線に結びつかない。国力を表す国内総生産も働き手(労働人口)の増加率だけで決まっていないと指摘しています。著者によれば、戦後最大の高度成長も労働人口の著しい伸びによってもたらされたもというよりは、労働生産性の伸び=イノベーションによってもたらされたもの。人口の減少を徒に憂うのではなく、イノベーションに留意することこそ肝要ということになる。

人口の減少は、今や、先進国固有の減少。一朝一夕には解消されるものでもないが、人口の減少だけを悲観し憂う必要もない。実際、ITやAIなどの普及により、労働人口の減少を補って余りある可能性も日々、拡大している。

この文庫本では、同時に、社会の不平等感を表す数値・ジニ係数に基づいて日本の戦前と戦後のそれが紹介されていますが、戦後より戦前の方が不平等感も大きかったとの指摘は、結構、新鮮に感じられる。

人口の減少も、まんざら否定的な面ばかりではない。そんな思いおこさせてくれる一冊。通勤途中の読書にお勧めしたい。
レオナルド・ダ・ピンチ